ビリーブ!

今日は、「ビリーブ」という映画を見に行きました。
この映画は、知的障害のある方たちのオリンピック「スペシャルオリンピックス」の長野での世界大会に、若いダウン症の方のグループが、撮影クルーとして参加する様子を描いたドキュメンタリーです。「エイブル」「ホームタウン」という前2作に続いての3作目になります。
1作目を見ていないので、2作目と今回を見ての感想ですが、障害児/者の自立がテーマだと思いました。「障害のある方たちは、必ず人の助けを必要とする人たちで、その助けを本人達もありがたいと思っている」というふうに考えているひとが、多いように思います。しかしこの映画を見れば、私たちが思っている以上に彼らには力がある事がわかります。
以前にバリアフリーの街づくりを提案している方のお話を聞いて、それはとても面白かったのですが、健常者が考えるバリアフリーは、的外れなものが多いと言うお話でした。
ついつい余計なものをつくってしまう。わざわざ、お金をかけすぎる。そのうえ、操作が障害者自身が1人でできるように出来ていない。誰だって、人に迷惑をかけたくない。それは、障害があるなしにかかわらない。そんな当たり前のことが、私には想像も出来ていなかったのです。

それから、今回の映画で、いくつか印象的なシーンがありました。
1つは、彼らが、自分達で話し合いをするところ。意見を出し、それに対して、まじめに考えて、皆の意見を一つにまとめる。ついつい、答えを用意してあげがちですが、それはよけいなお世話というものです。
それから、障害をもつ小さな子ども達に関わっていたところ。なかなか日常では見れない光景だけれど。同じ病気をもつ子どものお母さんに、自分の子どものとき様子を話すシーンなんか、グッと来ました。
そして一番最後に、将来の夢を語るところ。仕事を持ちたい、カメラマンになりたい、結婚をして家庭を持ちたい。家を出て、家族とはなれて、一人暮らしをしたい。この若者達の当たり前の夢が当然かなえられるような社会が、本当にバリアフリーな社会だと思いました。
振り返って現実は、今年の熊本でのスペシャルオリンピックスへの出場を資金不足を理由に辞退した団体があったそうです(10月31日付朝日新聞)。障害者自立支援法が施行されて、障害者の生活はずいぶんと様変わりしたと聞いています。彼らは、ちょっとの工夫で、自立できる力を持っている。それを十分に発揮できないような仕組みを作ってはならないと思います。

それにしても、オリンピック自体にあまり興味がない私ですが、このオリンピックはホントに見ごたえがあるなと思いました。フィギアスケートとか、すごいです。そして、彼らは、すごく絵になる!言葉のひとつひとつ、しぐさのひとつひとつが光っている。この辺は、常識にまみれた健常者ではなかなか表現できない、すばらし才能だと感じました。