新型コロナウイルス感染症の広がり、地域医療は?
4月7日、新型コロナウイルスの感染が都市部で拡大していることから、神奈川県を含む7都府県に緊急事態宣言が出されました。
神奈川県は東京、大阪に次いで感染者数が多く、その数は増加の一方です。医療従事者の感染も確認され、感染症はもとより、一般の病気、怪我などへの医療体制への不安が増しています。
3月25日に県が発表した、医療の崩壊を防ぐための「神奈川モデル」は今どう機能しているのか、今後の見通しはどうなのか気になるところです。
3月25日に県が出した「新型コロナウイルス感染症の拡大を見据えた医療体制『神奈川モデル』」では、「移行期 フェーズ1」で重症患者数20〜100人、中症患者数100人〜500人としています。その後の4月10日の知事の記者会見で、患者が20名を超えたことでフェーズ1に移行した、と発表されています。
4月11日時点では県内で感染が確認されたのは513人(NHK調べ)となっています。
県立足柄上病院の役割と現状
県立足柄上病院は、他の2カ所の医療機関とともに新型コロナ感染症の重点医療機関に指定されており、フェーズ1に達すると中症者の受け入れ機関となります。実際の受け入れの状況や対応できるベッド数は公表されていませんが、医療従事者を始め備品や消耗品の確保、ハード面整備などの院内感染の予防等、モデルとしての機能がそう簡単に進む状況とは考えられません。
県立足柄上病院では、すでに初診や救急搬送の受け入れをしておらず、入院や外来の患者さんへの「一部医療の抑制」が行われています。こうした対策に県民から「診察を断られてしまった」などの不安の声があがり、私のところへも届いています。
地域医療現場の危機
現状況では、足柄上病院の一般の患者さんは、他の地域医療機関での受け入れとなりますので、その受け入れ態勢の整備なくしては、医療現場の負担はただ増すばかりです。病気や怪我はこれまでと同様に発生し、これまでと同様に日々の医療行為は求められます。
刻一刻拡大する感染を受け、地域全体で医療崩壊を防ぐための体制づくりや、医療従事者のみなさまへの負担軽減への取り組みが求められています。
検査体制
感染を心配し、検査を希望する方は「帰国者・接触者相談センター」にまず電話で相談することになっています。市民のみなさんには、地域の医療機関では検査への対応ができないことを、十分知っていただく必要があります。
それにしても検査数が少ない、検査してくれないという声も多くあります。一般の診療所や夜間診療所へ感染者かどうか疑わしい方が受診をし、院内感染するのではないか、という不安の声もいただいています。県に対しては早急の対策として、検査数を増やすとともに、発熱外来などの別の窓口の設置の必要性を訴えています。
市立病院建て替えについて
新型コロナウイルス感染症の拡大は、まさに、医療従事者や医療資源の不足といった、県西地域の医療体制の脆弱さを見せつけることになりました。
ちょうど今、小田原市立病院の建て替えの計画が動いています。先日のタウンニュースにも書きましたが、私はこの機会に従来からの発想を大きく転換して、計画の見直しに着手することを提案しています。
神奈川県の医療体制と連携するとともに、県西地域の医療機関の核となるべく小田原市立病院を位置づけ、立地そのものから考え直していくことは、新型コロナウイルス感染症感染拡大の事態からも必然の成り行きと考えます。
最後に、感染症の最前線で頑張ってくださっている医療従事者、関係者のみなさまに感謝申し上げるとともに、今後も続くご負担に対し、行政からの最大の支援が行われるように、わたしも努めてまいります。