沖縄元知事 大田昌秀氏の講演会に参加しました

今日は、元沖縄県知事の大田昌秀さんのお話を聞いてきました。
大田さんは1990年から沖縄県知事を務め、その後2001年からは国会議員として、
沖縄の基地問題に取り組んできました。
今、普天間基地の移設をめぐり沖縄の基地問題が迷走しています。
分散案として名前が挙がっている徳之島では受け入れ拒否の姿勢を見せ、
沖縄県内での辺野古沖合は、ジュゴンが生息する貴重な場所であるため、
環境への影響が心配されています。
沖縄では、県内移設に対する反対の大会が行われ、9万人の人が集まったということです。

今日の講演会では、沖縄の基地問題を改めていろいろな角度から知ることができました。

沖縄戦の無謀さ、悲惨さはもちろんのこと、
「基地が経済効果をもたらしている」ということが全くの誤解で、基地があることが
どれだけ財政に負担をかけているか、今のアメリカの状況を見れば、グアムへの
移設が最も理にかなっていることなどが明確に語られました。

大田さんは第2次世界大戦の沖縄戦に参戦し生き残り、沖縄住民を守るはずの
日本兵が、沖縄の住民に対して虐殺や強奪を行っている光景を目の当たりにし、
本当に人間不信に陥ってしまったそうです。
しかし、新しい憲法を見て、日本は軍隊を捨てたんだということにとても感動した、
だからこそ、9条は何があって守らなければならないのだと訴えました。
そもそも、沖縄戦が始まったとき、住民には「到底勝てるはずがない」という意識が
とても強かったそうです。
日本本土から来た兵士は6万、住民をかき集めてやっと11万というのに対し、
アメリカは54万8千人の兵、さらに飛行機も、戦艦もあった。
また、沖縄の方言が分からない日本兵は疑心暗鬼になり住民への不信感がつのり、
沖縄の方言を使っただけで、スパイ扱いをしたということです。住民にしてみると
戦争という異常な緊張感の中で、とても標準語など使えるわけはなかったのです。
アメリカのほうはかなり沖縄を研究していて、沖縄言葉を理解することもできたそうです。
住民用の食料や衣服などのアメリカ軍は用意していて、
実際にはアメリカ兵に助けられたひとも多かったということです。

小田原に来て、自然と文化に恵まれていることも素晴らしいが、何より、米軍の飛行機が
飛んでいないということだけでもとても幸せな土地に住んでいると言えるとおっしゃいました。
最後に、母親が残された子どもたちへ向けた詩を朗読し、そのなかで、
「オオカミは鋭い牙を持っているから設滅させられた。しかし、鳩は今も大事にされている。
愛されるものは滅ぼされないのだよ」という言葉が、とても印象的でした。

基地をどこかが受け入れなければアメリカの信用を得られない、という風潮の中で、
あえて、世界の信用を失いつつあるアメリカではなく、韓国、中国、台湾といった
アジアの隣国との連携にこそ、もっと力を入れるべきです。
東西冷戦が遠い過去となりつつ現在、ほんとうに、日本に基地が必要でしょうか。
そのための予算を、歴史を見つめなおし、文化や環境といった分野でのアジアとの
連携に使うことのほうが、意味があるのではないかと私は思います。
鳩山首相は5月をめどにと表明していますが、基地こそ事業仕分けを行い、
外交政策を大きく転換してほしい、と思います。