学力全国1位は1日にしてならず!(秋田県大仙市視察報告)
本日は、厚生文教常任委員会の視察で、秋田県大仙市に伺ってます。
テーマは小学校の学力向上と、体力運動能力向上の取り組みについてです。
<<視察のメモ>>
学力調査は秋田県の全国1位。大仙市は秋田県の平均より全体的にやや高め。
学校ごとの平均値は好評しない。数字だけが一人歩きしてしまう。たとえば、人数の少ない学校で支援の必要な子が一人いれば、平均値はグッと下がる。意味がない。数字がでると原因を探りたくなってしまう。
就学援助金 全国平均15%、大仙市7.5% 福祉、生活保護の対応に教員退職者、児童生徒への対応は丁寧にやっている。不登校や問題行動も全体的に少ない。
昭和30年代に行われた全国学力テストでは、全国で最下位だった。その時には、都市部と農村部の学力の差が激しく、その差を埋めることを目標に教育に力をいれてきた。学校運営が1枚岩で頑張っている。最後は、子ども達ひとりひとりのために。社会できちんと生きて働けるおとなに育つことを義務教育で保証する、のが目標。
授業のスタイルもすべての学校で共有している。どこの学校へ行っても、学習の内容と目的がわかりようにしておくのを徹底している。10年かけて、出来上がった。
教職員の授業のフォロー 県からの教育専門員5名。各学校を周り、指導力の高い教諭が授業を一緒にやる。
秋田県、全県で少人数学級対策(30名前後学級)に取り組んでいる。
学力検査後にすぐに自分で採点をし、どこに課題があるのかの振り返りをする。
一人勉強ノートを実施。毎日子どもが一人勉強をし、先生はそれを確認し、子ども達に返す。大仙市では一人勉強ノートを子ども達の親の代からずっとやっているので、定着している。学校も保護者も、やるのが当たり前になっている。
支援の必要な子どもへも丁寧に対応をしている。
地域との連携も密。「地域のコミュニティーを救うのは学校だ」と思ってくれている。
学力全国1位、ということばかりが注目され、なにか秘策があるかのようにも思いがちだがが、話を聞いても、学校や教師がが行うべき当たり前のことを、当たり前に丁寧に、子ども達の育ちを主体に、長い年月をかけて積み上げてきた成果だと実感。学力全国1位、というのは目標ではなく、その積み重ねの結果でもある。教育長も、そして、元教頭先生だという教育研究所の所長さんも、子どもへの思い、教育にかける思いは熱い。
全国学力調査が始まってから、その結果の公表を求める声があり、市議会でも議論になってきた。学校ごとの平均値の結果の公表の是非が取りざたされるなかで、全国第1位の秋田県、それを上回る平均値を「それは意味がない」という力強い回答をもらったことが、私にとっては何よりもの成果でした。
この学力テストが最下位されてから、学校ごとの平均値を公表したために、学校による格差が生じたり、事前に対策問題をやったり、支援が必要な子どもにテストを受けさせないということまで起きていることが問題とされてきました。小田原市ではまだ公表していないので、こうしたことは起こっていません(のはずです)が、学校ごとに学力に差があるなら、その学校へ通いたい、と思う保護者が出てくることは容易に想像できます。そうではなく、教育の課題を教育委員会や学校がしっかりと把握し子ども一人一人の育ちと向き合う、そのためのたんなるツールとして全国学力調査を使いこなしていければ、その意味は出てくると思います。課題解決のために、教育委員会も学校も先生方も全力で取り組む、地域も出来る限り協力することが大事で、それは学力検査をやらなくても、本来は、先生が肌感覚で分かることではないのか、子ども達の言葉から見えてくるのではないのか。学力は、勉強をグイグイさせれば出来るようになるわけではありません。子どもに寄り添い、こどもの自尊心を大事にしながら、時には、家庭の状況などにも心を配りつつ、どこまでも、こどもの育ちを応援し、見守り続けること。その地道な取り組みが子どもとの信頼関係を作り、その信頼関係こそが、その子なりの学力の向上につながる。これは、地域で20年個別指導の学習塾を営んできた私の経験からも言えることです。正直いえば、テストの結果に大人が騒ぎすぎなんではないか、と思うし、教育現場にその影響が及ぶことの方が、よほど子ども達のためにならないと、私は思います。
“学力全国1位は1日にしてならず!(秋田県大仙市視察報告)”へ1件のコメント
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メールをありがとうございます。
前号のメールで芸術文化創造セーンターの入札不調の原因と、今までの
無駄な投資額を答弁させたのは拍手喝采です。
今回の教育のことは佐々木さんの専門分野ですね。
大仙市の取り組みはすばらしいです、我々のこども時代と違って一人ひとりが進んで勉強するようしむける方向なのですね。
私の時は城山中学が一番でしたので、親が教育熱心な人はみな寄留してそこへいきました。私は白山中学で毎日のんびりと魚とりや好きなことをやっていました、
高校へ入ったら、城山と白山の学力の差にびっくりしました。