3月議会 報告その2 2つ自然エネルギー関連の議案削除の修正案が可決!
以下、小田原市議会HPからの転載です。———-
平成28年小田原市議会3月定例会で予算特別委員会(井原義雄委員長ほか12人)に付託された「議案第38号 平成28年度小田原市一般会計予算」に対して、3月22日に再開した同委員会において2件の修正動議が提出され、採決の結果、次のとおりとなりました。
○「議案第38号 平成28年度小田原市一般会計予算」修正案 1
1 修正の内容
(款)4 衛生費、(項)1 保健衛生費、(目)5 環境整備費 温暖化対策経費 環境・エネルギーの里づくり事業費(2,676千円)を削除する。
2 修正の理由
再生可能エネルギーの施設の状況、風土として取り組むべき政策なのか疑問である。小田原市内では民間事業者が整備した1つのメガソーラー施設や小水力発電の遺構がエネルギー関連施設であるとしており、これだけの施設でエネルギーをうたってしまっては街のイメージが不鮮明となり、これら施設と合わせてわんぱくらんどやいこいの森をエネルギーの里としての位置付けの必要性はない。
民間の環境活動をつなげる事業や啓発施設が最近事業化したばかりであり、事業化したものをひとつひとつ丁寧に行っていくことが重要である。
3 発議者
井上昌彦委員
4 採決結果
可決すべきものと決定
○「議案第38号 平成28年度小田原市一般会計予算」修正案 2
1 修正の内容
第3表 債務負担行為のうち太陽光発電設備借上料を削除する。
2 修正の理由
広域避難所に指定されている各小学校への今後10年間の設置については、災害時の非常電源であるとされているが、発電量が10キロワットと低く継続的に賄えないことが懸念され、10年間の債務負担行為による事業費は極めて費用対効果が低い。エネルギーの地域自給と再生可能エネルギーの利用を図るという目的は、市民の行政ニーズと本市の厳しい財政状況を鑑みると優先順位は高くないと思料される。
3 発議者
鈴木和宏委員、篠原弘委員
4 採決結果
可決すべきものと決定
———-以上、転載終わり
25日最終日の本会議では、2つの議案を削除した修正案が提出され全員の議員による採決になります。わたしは、片方は賛成、片方は反対の立場ですが、一括で採決でしたので、修正案に反対をしました。
そこでの討論は次の通りです。(多少変更点あります)
それでは、討論に参加いたします。
予算委員会では「あればいい予算」と、「なくてはならない予算」という議論がありました。全体を通して、「あればいい予算」が多いという点は、私も同感であります。
環境・エネルギーの里づくり事業は、委員会でも議論がありましたように、
すでに多くの活動団体がある中で、その方たちを中心に取り組んでいただき、協働の形で構想を策定していけば良いことで、なにもコンサルを頼んでまで、市が主体となってやる必要はありません。むしろ市民団体の自発的な活動にこちらが応援をしていく形で必要な支援をするのが望ましく、それが本来の市民力ではないのかと考えますので、削除すべきです。
しかし、一方の太陽光発電設備借上料に関しては、
大災害の際の電源の問題はとても深刻であったことは、先の東日本大震災の際に嫌という程思い知ったはずです。連絡手段としての携帯電話の電源を求める長い列、被災地に太陽光パネルを持参するという支援に取り組んだ方がいたなどの報道もありました。さらには、ガソリンも不足し、小田原でも大変な状態であったことを思い起こせば、(広域避難所である各小学校に)発電機が整備されているからといっても、燃料の供給に不安があれば十分に活用できる保証ありません。たとえ、現在の電力供給量の10%だとしても、オフグリットの蓄電太陽光発電設備は、大災害の備えとして、有効であると考えます。
そしてなにより、自然エネルギーの推進により、本市が自然豊かで暮らしやすいエコな街であるアピールにつなげるべきとの市長の考えに賛同しますし、災害時にオフグリットの太陽光発電が活用できるという取り組みは、これまでの取り組みをさらに一歩前進させるることにつながり、脱原発を求める私としては、「やっとか!」という思いです。
「あればいい予算」と、「なくてはならない予算」ということであれば、むしろ、城山競技場のラグビーのための走り幅跳びレーンの移設や本芝の整備にかかる1億3000万円。ラグビー準備委員会のための300万円のほうが、よほど「あればいい予算」ではないかと思います。合宿実施にむけたPRや関連商品開発などは、民間にお任せすればよいものです。年に2回しかこないラグビー日本代表のためにのラグビーコートの整備や本芝のための予算がありながら、競技場内の利用者がよく使うトイレの改修が後回しにされているという、ラグビーと市民の利便性の向上とどちらが優先なのかとの疑問をあらためて感じました。さらにいえば、子どもたちへの予算、待機児童の問題、学校施設の問題、などの「なくてはならない予算」が不十分であるのに、という思いは拭えません。
以上、意見を述べさせていただきましたが、予算特別委員会からの提案は2事業の削除ということでのすので、エネルギーの里事業に関しては疑問を持つものの太陽光発電設設備借上料は必要な事業と考えますので、反対をいたします。
討論終わり
さて、今回の修正案、どちらも自然エネルギー関連ということで、賛否は「脱原発か否か」で真っ二つに割れました。特に、太陽光パネルの方は、そもそもオフグリット(送電線に繋がない電力供給)なのだから、費用対効果という枠組みで語るのは、ちょっと無理があるのではないか?と思います。なので、オフグリットが脱原発という意味合いで価値があるかどうかが、賛否の分かれ目のように思います。
国は、経済優先の発想で、「安全とは言いきれない」基準に合格したとして再稼動をどんどん進めようとしています。
原発事故から1年目に、小田原市議会では「原発に頼らない社会を求める決議」を採択していますが、昨年の改選を機に、市議会の脱原発に対する考え方も、大きく変わったことの結果かもしれません。
国と地方自治体。同じ政治状況です。地方自治は何かをあらためて考えるとき、この国の民主主義が大きく後退しようとするなかで、国から自立した地方自治体を目指す必要性は、今こそ重要です。