議会に国旗を掲げたことに対する陳情への意見。

市議会では今年3月に議長判断で議場に国旗が置かれることになりました。これまでこの問題は何度となく議会で議論され、市民からも掲げるようにとの陳情が出ていましたが、議会運営は全員が納得する形でということで、見送られてきました。
この件に関して、市民から国旗が置かれることになった経緯に対する疑問の陳情が出されました。
わたしは意見を述べてこの陳情には反対をしました。

陳情第15号 市議会の運営改善に関わる陳情書に関し、反対の立場で討論をさせていただきます。

平成11年8月13日施行のいわゆる国旗国歌法は、国旗は日章旗とする、国歌は君が代とするということが、さまざまな不安の声を受けながらも決定されました。日の丸に対して何を思うか、また、その思い入れはどれくらい深いかは、残念ながら、日の丸の持つ歴史的な背景から現状でもさまざまです。国への忠誠心をあらわすものとまで思う人もいれば、国をあらわすための印としか思わない方、また、さきの戦争での日の丸の役割を不安に思い、日の丸強制イコールナショナリズムイコール戦争と考える人もいます。思想信条の自由を掲げている私たちの国では、その気持ちはそれぞれでよいのだということが保障されています。そして、議場は、多様な人たちの代表である議員が集い、多様な意見を議論する、小田原市民みんなのための公共の場所です。日の丸が嫌いな人は出ていけということはできません。議員全員が自由に気持ちよく議論ができるようなしつらえ、つまりインテリアにすることが一番大事なことと考えます。

御承知のように、国旗を掲げることとこの国を大事に思う心は、必ずしも一致しません。にもかかわらず、国旗を掲げることを、国を愛する心をあらわすものだと勝手に決めて、国を愛しているかどうかの踏み絵と感じさせられるような雰囲気が国旗の問題にはどうしてもつきまといます。こうした背景から、国旗について賛否を問われることが大きな負担になるという議員がいること、そのために議長が苦渋の判断で今回のような措置をとったことは理解しております。

本陳情では、議場のインテリアについて、市民に開かれた議会の方向で解決することとあるため、その点は同意ができませんので、陳情自体には反対をいたしますが、一方で、さきの戦争で国民に物を言わせぬために使われたという日の丸が抱える問題が、戦後70年たって繰り返されようとしている危機感から、こうした陳情を出された陳情者の思いに対しては共感しております。よって、この陳情に対しては反対をいたしますが、国旗の取り扱いについては、市民の代表である議員全員が気持ちよく議論ができる場にふさわしいインテリアは何かという視点での議論の場を改めて設けるべきとの意見を申し上げ、討論といたします。