農産物の学校給食使用に関する決議について
小田原市議会では、6月14日に「農産物の学校給食使用に関する決議」が賛成多数で採択されました。
私はこの決議に「賛同できない」との表明を致しました。
その件について、さまざま問い合わせがありました。
当日、私が議場で意見表明をしましたので、それをご紹介いたします。
決議そのものは、こちらをどうぞ
http://www.city.odawara.kanagawa.jp/global-image/units/96773/1-20120614145313.pdf
決議に対し、ひとこと意見を申し上げます。
県内一部の自治体において、学校給食への使用予定の県内産の冷凍ミカンから微量のセシウムが検出され、国の基準を大きく下回るにも関わらず、学校給食への使用を取りやめる措置がとられました。
福島原発での原発事故以降、放射の被爆から子ども達を守るために、独自検査を行い、保護者の不安の声に応える対策をしている自治体が増えています。そうした対策が、農業そのものの存続を危うくし、生産者の生活を脅かす深刻な状況を引き起こす要因のひとつとなっていることも、私は理解をしています。
一方で、子どもを抱える保護者は、10年後20年後に起こるであろう放射能の影響による健康被害におびえ、子ども達になにを食べさせたらよいのか悩み、安全な食材を求めさまよい、暮らしを変えてまで自らの責任で移住をしている方もいます。
放射能のない、以前の安心した暮らしを返して欲しいと言う思いは、生産者も消費者も同じです。深刻な事故を経験した今、生産者と消費者が放射能を巡って対立するのではなく、強い信頼関係を持って問題の克服に向かう必要があると考えます。
決議では、学校給食の使用継続の検討を求めていますが、放射能被害による困難の解決は、子ども達に基準値以下とはいえ放射能の検出された農産物を食べてもらうことで解決できる問題だとは私には思えません。今回の冷凍ミカンに対する措置は放射能汚染による実害のひとつの事例であり、今後こうした混乱は、様々な形で現れてくるものと思います。
現在の国の補償は、生産者にとって決して十分なものであるとはいえません。
とらえ切れていない放射能による生産者の実情をしっかりと踏まえた対策を、県や市独自で取り組むよう求めるべきと考えます。
そしてさらに、これまで原子力政策を進め、原発事故を引き起こした国や電力会社に対し、放射能によるすべての被害への保障を地方自治体として強く求めていただきたいと考えます。
以上の理由から、今回の決議には賛同できないと、表明を致します。
“農産物の学校給食使用に関する決議について”へ2件のコメント
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佐々木ナオミ様
はじめまして。
鎌倉市議会議員の長嶋たつひろと申します。
「農産物の学校給食使用に関する決議」について反対の立場でご意見を言っていただいた事に感謝申し上げます。
この件について私も鎌倉市民の代表として抗議の意見をブログに掲載させていただきました。ご一読いただければ幸いです。
http://kamakurasi.air-nifty.com/blog/2012/07/post-53be.html
長島様
佐々木です。
この決議、とても悩みましたが、あくまで、学校給食への使用に焦点を当てているという一点を持って、反対を致しました。
この件については、せっかく「脱原発」に向けた決議を採択した市議会が、放射能のことで分裂してしまうことに不安がありましたので、
私から積極的にブログ等に書くことは控えていました。
が、この反対については、これまで一緒に活動をしてきた有機農業の知り合いから、ネット上で抗議を受け、今回説明のために
ブログに書きました。
ともに脱原発や平和を目指して活動してきたこともあった方だけに、本当に残念ですが、
この原発事故がもたらした放射能の恐怖は、ここまで人を混乱させるのかと、その罪の大きさを改めて実感しています。
長島様以外の方からもこの件問い合わせがあり、やはり予想したとおり、この決議が消費者と生産者の溝を広めてしまったのではないかと、
とても残念に思います。
私としては、反対意見でも申し上げましたが、生産者と消費者の対立構造をどうやって埋めていくのか、ということが
議員の役目ではないかと思っていますし、農業の存続と子どもの未来を両てんびんにかけるようなことはしてはならないと
考えています。
長島様が、小田原市議会に対してお怒りの様子、拝見いたしました。
できれば、何かの形で連携が出来ると良いなと思います。どうぞ、よろしくお願いいたします。