生ごみのたい肥化に画期的なシステム!

061a642651f27976eafe8c499fa561b9今日は、「地域のごみ市民会議」のメンバーと、山梨県韮崎市にある「スーパーやまと」に見学に行ってきました。このスーパーでは、お店の前に大きな生ごみ処理機が置いてあり、買物客が生ゴミを持ってくると、ポイントカードに5ポイント(5円相当)がつくというもの。生ごみ処理機の横にカードリーダーがあり、それにやまと専用のカードを差し込むと処理機のふたが開く仕組み。処理機の中にはNPO法人エコシティーが開発した「カフェ・ジャーム菌(コーヒーかすから作った菌で、すごい菌だそうです)」の入ったチップが入れてあり、生ゴミと一緒に混ぜて、堆肥を作っていきます。この機械の管理やメンテナンスはこのNPO法人が請け負っています。できたたい肥は農家に無料で渡し、このたい肥を使って作った野菜を「エコ野菜」としてスーパーやまとで販売をしています。
 
 生ゴミを出して、お金が戻ってくる。これはごみの有料化などの世の中の発想とは全く逆です。私たちが機械や仕組みの説明を受けている間にも、地域の買い物客が慣れた手つきで生ゴミを持ってきます。「生ごみのたい肥化」と一口で言っても、分別の問題やたい肥にする方法、できたたい肥をどうするのかなどたくさんのハードルがあります。ゴミの出し方が住民同士のトラブルにもなっている中で、この方法は新住民も地元の方もお年寄りも子育て世代も関係なく出しやすい、まちなかに合った方法として、画期的。小田原でも十分可能な方法だと思います。

 「スーパーやまと」は1台約750万のこの機械(生ゴミ処理機約400万、排臭のための機械約100万、カードリーダー約250万を自費で購入し、管理費も1台当たり月15万円をNPOに払っています。さらに行政の補助金なども入っていない。社長の小林氏いわく「補助金もらうと言いたいことが言えなくなるから」だそうです。「スーパーやまと」の取り組みが注目され、韮崎市も「バイオマスタウン構想」という計画を立て、ゴミの排出量を抑えていきたいと様です。今は小田原市と同様のステーション方式でごみを集めていますが、今年度から、試験的に上勝町のような分別ステーション方式、(ゴミをステーションに持って行ってそこに分別ボックスがあり、市民がそこで分別をしていく方式。丁寧な分別ができること、いつでもごみが出せることが魅力)に取り組み、その第1号をスーパーやまとに置くということです。
 
 さて、「スーパーやまと」では、そのほかにもマイバックの方にもポイントを付けたり、レジ袋を持っていくとポイントを付けたり(やまとのレジ袋でなくてもOKという気前のよさ!)しています。それで、経営は大丈夫なの?と思うところです。小林氏は経営は決してラクではないし、さまざまに経費削減をしているそうです。ただ、「地元スーパーは地域のライフライン」と豪語する彼は、「地域密着」では生ぬるいから「地域土着」とアピールしているそうです。売り上げよりも「やまとがなくなったら困る!」という存在意義を持ちたいと考えているそうです。地域の商店街が元気をなくし、中心市街地の活性化が課題になっている小田原で、交流人口を増やすというのはなかなか大変なこと。ましてや、国から降りてきた補助金ありきの計画で、果たしてうまくいくだろうか。「スーパーやまと」の取り組みはある意味市民自治ともいえるし、地域が自立していくための発想の転換を具体的に示していただき、元気をたくさんいただいて帰ってきました。

ごみは生活に密着したもの。環境という問題だけでは語れない、さまざまな要素があります。CO2の削減は大事ですが、そのために市民の生活が立ち行かなくなるのでは本末転倒。今回の見学をぜひ生かして、小田原での生ごみについての取り組みを探っていきたいと思います。

写真は生ゴミ処理機。お店の真ん中にドカンと鎮座しております。