小田原市新斎場計画の債務負担行為に反対(削除の修正案に賛成)の意見表明
議案第69号 平成27年度小田原市一般会計補正予算中、第4表 債務負担行為補正、小田原市斎場整備運営事業費を削除する修正案に賛成の立場で討論いたします。
今回の債務負担行為は、新しい小田原市の斎場計画を大きく進めるとても重要なものであると受けとめています。設計、建設、運営すべてを一括発注するという手法のため、今回の債務負担行為を承認するということは、今回の計画すべてを了解したということにほかならず、今後はすべて業者にお任せ、事業の中身について議会のチェックを入れることはできないととらえております。
今回の新斎場計画には大きな問題点が3点あると指摘をいたします。
まず1点として、今回の計画見直しにより、民間資金の調達をやめ公的資金を導入したにもかかわらず、なぜPFIにこだわるのかという点です。改めて言うまでもなく、PFIとは民間資金を活用したことを前提とした手法であります。今回、公的資金を活用するにもかかわらず、事業者選定での公平性・透明性を担保するためにPFI法にのっとって進めたいとの説明ですが、PFI法は公共事業に民間資金を活用するからこそ必要な法制度であって、公共団体が税金を使って事業をするのに公平性・透明性を担保するのは当たり前のことです。そもそもSPC(特別目的会社)とは、一つの会社ではなく、幾つかの業者が一緒にプロジェクトをやるための会社であり、その業者の連携を担うのはコンサルタント会社です。普通に公共事業ならその業者間の調整をするのは行政、つまり市職員の皆さんのお仕事で、それはどの公共事業でも市職員の皆さんがやっていることのはずです。なぜ、それを、わざわざ会社を立ち上げコンサルタント会社に託すのか。それも議会のチェックも入らない形で進めるのか。斎場事業はそこまでして民間活力を導入することが必要な事業でしょうか。今までの運営の仕方で施設の老朽化以外に重要な問題があったのか甚だ疑問です。それを証拠に斎場でPFI事業を行っている事例はほとんどありません。従来の手法でこれまでどおり運営して何の問題もないと思います。
2点目として、事業規模が適正とは思えないという点です。つまり、炉数9基は本当に必要なのかという問題です。私はこれまで何度もピーク時の予想件数の根拠についてを問題にしてまいりました。この点については、いまだに明らかな答えはいただいておりません。ピーク時の予想件数については、さきの総務常任委員会でも議論がありました。現状の実績数、それから平成52年のピークの予想件数についての議論がございました。おかしなことに各市町で随分と増加率が違います。小田原市、南足柄市はともに現状よりプラス35%ほどなのに、大井町は何とプラス75%、大井町がほかの市町に比べて異常に死者が多くなる要因とは何なのでしょうか。一方、箱根町はプラス1件、1件というのは一体何なのでしょうか。こんな試算の仕方でつくられた計画では余りにも不安です。丁寧な試算もせずに過剰投資になってしまったら、無駄な維持管理の負担を15年後も、そして20年後のピークを過ぎた後もしていかなければなりせん。人口減の時代です。できる限り小規模で、ピーク時を何とかやり過ごす柔軟性を持たせた工夫をすることこそ、民間活力に要求すべきと思いますが、PFIにこだわりながら、その点は不問にするというのが理解できません。
3点目として、この債務負担行為の設定の時期に、構成市町の負担金、また市民の使用料が未確定、そしてその確約もできていないということです。先ほど述べました総務常任委員会の審査では、山北町などは現状135体、ピーク時160体というような説明でしたが、例えば山北町がこの計画から離脱し、構成市町以外の使用料を平塚市並みに高い1体10万円でというふうにしたら、山北町の公費で全額賄ったとしても、ピークで年間1600万円ほどで済んでしまいます。だとしたら、今回の新斎場計画に参加するのとどちらが山北町にとって得になるでしょうか、大変悩ましいことだと思います。ましてや、秦野市・伊勢原市も計画中。そちらの利用料がもし小田原市より安かったとしたら、果たして予定どおりの件数が小田原市の斎場に来るという保証はできず、となれば本市の斎場における財政負担はふえることが予想されます。私が心配するのは、このような状態で債務負担行為を設定してしまって、果たして他の市町の理解を得られるのかということです。もし他の市町が離脱してしまったらどうするのか。本市の負担はさらに大きくなるのではないか。それとも、そういう事態に陥ったときには、芸術文化創造センターのように、また計画を大幅に見直すのでしょうか。そんな時間的余裕が今の老朽化した現斎場に果たしてあるのか、大いに疑問を感じております。
以上3点の理由をもちまして、債務負担行為の削除には賛成をいたし、私の討論とさせていただきます。