TPP講演&パネルディスカッション!熱い討論が小田原で!

さる12月1日 TPPについての講演会&パネルディスカッションを企画して開催しました。

TPPとは一体何か、何だったのか、私を含め、多くの国民がわかってはいません。しかし、農業を始め多くの分野の関税を撤廃し、自由貿易を進めていくこの条例は、私たちの暮らしに多大な影響を与え、それは決して良いことばかりではない、むしろ、不安材料が多いというのが、多くの国民の認識ではないかと思います。

一番の問題は「ISDS条項」。その国の政策が、自由貿易を阻害し、多国籍企業の利益を損なったとなれば、その企業は国家を訴えることができます。そして、実際に裁判で、多国籍企業が勝訴し、国が多額の賠償金を払わされたこともあります。紛争解決の裁判がおこなわれるのは、公正な第三者機関というわけではなく、多国籍企業のお抱え弁護士などで構成された仲裁裁判所です。極めて企業側に有利な体制になっていること、そして、一度決めた規制の緩和を元の状態に戻すことは「ラチェット規定」によりできないことになっていること。

例えば、国内農産物の産地表示。「魚沼産コシヒカリ」の「魚沼産」が、アメリカ産のコシヒカリの自由な経済活動を阻害している、と言われたら、その産地表示ができなくなるかもしれません。もちろんそれは仮定の話ですが、こういう話をすると国は「そんなことはないので大丈夫です」と言い切る。ところが、「言い切れる根拠」はどこにもないのです。そこが最も問題で、何が非関税障壁と解釈されるか、訴訟になってみなければわからないのです。
米国では、牛肉の産地表示が非関税障壁にあたるとして、カナダやメキシコから訴えられ、原産国表示義務が外されてしまいました(これはTPPではなく、北米自由貿易協定の話ですが)。
訴訟の前に水面下で交渉が行われることも十分考えられます。実際に韓国とアメリカのと2国間のFTAでは、このISDS条項によって企業に訴えられ賠償金を払わされることを危惧して、事前に国内法を改正する、ということが起きています。
つまり、TPPに批准をするということは、国家としての大事な権利を多国籍企業に委ねる、国家より多国籍企業が上になるということです。それは、いわゆる保守の皆さまが大好きな「国家としての尊厳」を売り渡す売国的な行為としか思えません。昔歴史の教科書で習ったこと、黒船来航から70年以上かけて日本政府がやっと手にした「関税自主権」を、いともあっさりと手放そうとという話なわけです。

耳慣れないTPPという略語と、あまりにも膨大な協定文書(6000ページ以上!それも翻訳されたのは2000ページ程度に過ぎません。)メディアは、「貿易の自由化で活性化!」「強い農業!」などのポジティブな言葉にごまかされて、こうしたTPPの本質を報道しようとはしません。

次期アメリカ大統領トランプ氏がTPPの脱退を宣言したことで、すでにTPPは失効確実となったにもかかわらず、今国会中に批准して関係法案を通そうというこの状況は、一体何を意味するのか?国会審議がどんどんと進む中、この課題について地域の皆さんと共有する機会を持たなければ!と考え、急遽、TPPの講演会を企画しました。(最初に企画した時点では、米国大統領選の結果はまだ出ていませんでした)

政治的なテーマとなるととかくイデオロギー的な捉え方をされがちですが、今回のTPPはとくに地域農業に大きな影響を与えるので、この県西地域の地方議員、市民との連携で実行委員会を立ち上げました。講師に東京大学大学院教授の鈴木宣行氏、そして、後半のパネルディスカッションには、地域の代表として、JAかながわ西湘の専務理事、安藤氏を交えての熱い議論が交わされました。また、TPPの問題で全国的に活動をしている元農林水産大臣の山田正彦氏も特別ゲストとして参加してくださいました。

鈴木教授は、この問題に対する政府の隠蔽と欺瞞を次々と明らかにしていきます。政府は「自由貿易を守る」という正面からは反対しにくような極度に単純なスローガンを連呼しながら、批准に向けてぐいぐい推し進める。その自由とはアメリカのグローバル企業にとっての自由にすぎないことを豊富な実例を挙げてレクチャーしてくださいました。たとえTPPが失効しても、米国は二国間協定で同じテーマを私たちに押し付けてくるだろう、とのこと。「トランプ大統領でTPPは無くなったから大丈夫!」と呑気には構えていられないようです。

後半のパネルディスカッションでは、地域の食と農業の未来について、白熱した議論が展開されました。「今だけ金だけ自分だけ(鈴木氏談)」なグローバリズムにさらされて、地域農業の未来はあるのか?このまま進めばA解体は避けられない?果たして、私たちの国家としての主権は、どこへ行ってしまうのか?などの問題が議論されました。

JA職員や、生協関係者、地元の生産者、地方議員など多様な方が参加してくださり、この問題についての危機感を共有できた有意義な集いとなりました。

来年の米国新大統領の就任で、こんどは日米FTAという形でTPPは逆襲してくると言われています。そのとき私たちの地域の暮らしはどうなっていくのか。どんよりとした2017年がやってきそうです。



これまでのコメント

  1. 岩越松男 より:

    前回の集会に参加して、参加者の顔ぶれをみると、ほとんどの国民はTPPについてどんなことになるか実感がないのではないかと思いました。つまり業界の問題なんだろうと言う感じです。
    おそらくTPPのような仕組みが施行されても、そこそこに暮らせている人々には「しかたがない」「でも、最近安いお店が増えてありがたい」それが遺伝子組み換え食品であろうと、何であろうとそんな納得感が蔓延するように思います。

    それこそが大問題ですね。TPPのバックボーンになるグローバリズムについて、分かりやすい説明をしていくしかないのでしょうね。思案のしどころです。

  2. 笠原久弘 より:

    素晴らしい企画でした。TPPの本質はISDS条項にあります。これを許せば、日本が世界に誇る国民保険制度が崩壊してしまいます。

後援会リーフレット(PDF)

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