小船森の土地区画整理事業。破綻のツケは市が負担!?

5月19日に急遽開かれた議員説明会。小船森土地区画整理事業についての報告でした。
これまでの経緯も含め、1時間以上にも渡る、分かりにくくややこしい説明が市からありました。
大雑把にお伝えすると、
バブル真っ只中の平成元年、小船森の6.9haの農地だった土地を宅地にして住宅街を作った「小船森土地区画整理事業」。しかし、バブル崩壊という時代の流れに逆らえず、宅地が売れず、いろいろ手を尽くしたが改善のめどが立たず、全96区画のうち36区画が売れ残った。
このままでは、69人もいる地権者の負担は増すばかり。また、まちづくりの観点からしても問題だ、ということで、平成21年、市と、国と、民間金融機関から約7億円を借り入れ、6人の取締役による「小船森土地区画整理株式会社」を設立。この株式会社が売り残った全て土地を買い上げ、その後はこの株式会社が販売を行う、ということになった。
ところが、株式会社にしてからも、なんと1区画しか売れず、取締役のお1人が亡くなったのをきっかけに、「厳しい不動産業会にあって、販売経験のないものが今後も役員を務めることは、会社に迷惑をおかけする」という理由で4人が辞任。そして、昨年10月に、破産申し立てが行われ、破産手続きが始まりました、ということでした。

結局のところ、この事業が始まってから25年間で、小田原市は、当初の道路整備などもろもろの補助金などで約5億円。株式会社になってからも1100万円の補助。そして、株式会社へ貸付けた3億4千万円(うち1/2は国からの貸付)。あわせて8億5千万円も損失が出たことになります。

現在はこの土地を一括して不動産業者に約2億5千万円で売却する方向で進んでいますが、それでも、踏み倒された借金には1億足りません。

「なんで株式会社になるのを許したのか?」とか「辞任した取締役に責任を問えないのか?」とか、いろいろ疑問はありますが、法的には全く落ち度がないとのこと。市はこの損失をだまって受け止めるつもりのようです。
おそらく、その時その時はのっぴきならない事情があっての最大限の判断だろうと推察はしますが、すんなり「しかたがない」で済ませられる問題なのか、疑問です。
議論は始まったばかり。今後、様々に混乱が起こりそうな気配です。

それにしても、結局のところバブル時代のツケを、今になって払わなければならないという案件ですが、こうした案件はまだまだこれからも出てくるのでは?という不安もよぎります。
であるからこそ、これからのまちづくりは、夢や希望を語るのではなく、現実をしっかりと見据えてシビアに考えて行く必要がありそうです。

本日の資料

本日の資料

小船森の土地区画整理事業。破綻のツケは市が負担!?”へ2件のコメント

  1. 松本茂 より:

    「約2億5千万円」で購入する「不動産業者」はどのような土地利用をお考えなんですか?「そんなこと小田原市は関心ありません」ということでしょうか?
    開発手品で、公金負担の発生については、明快な市民説明をするべきです。小田原市政のだらしなさはうんざりです。

  2. 加藤哲男 より:

    小田原市(国庫支出金は小田原市が全て補てん)とJA西湘とで合計6億9700万円の債権があります。それに対して担保処分で回収できるのが2億5千万円。未回収となった4億4700万円を小田原市とJAで半分ずつの負担となります。事業組織であるJAは貸倒引当金を充当して償却するつもりですが、公共体である小田原市は全額税金を失うということになります。善意無過失であるならともかく、故意重過失であるんですけどね。

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