加藤市長、議案を取り下げ?!

12月議会が始まりました。

今議会で、市長側から下水道料金の値上げの提案がありました。

下水道は普通の会計とは別の下水道だけの特別会計で運営をしていますが、
現状では下水道料金だけでは賄いきれず、一般会計(市の基本的な会計)から
毎年大体30億円ほど下水道会計に繰り出していることや、
市の特別会計(下水道のほかにも競輪とか天守閣とかの特別会計がいろいろ
あります)も含めた全体的な借金のうちの1/3は下水道の借金であることなど
から、今後の下水道の安定的な運営のためには何らかの措置が必要なのは確か
で、市長はこれを理由に下水道料金の値上げを提案しました。

しかし、この提案では下水道料金は県下で1番高くなってしまうことや、この
経済状況のなかで、市民生活への負担を考えると、とても厳しい提案である
ことなどから、議会の中では賛否が分かれる難しい提案でした。

昨日行われた議案関連質問でも多くの議員がこれに対しての質問をし、市長は
状況を説明しつつ「ご理解ください」との答弁を繰り返しました。

今日は建設経済常任委員会が予定されていましたので、この議案はこの委員会で
丁寧に審議をされる予定でした。

ところが、一晩経って今朝急に、市長からこの議案を取り下げる(撤回したい)
という提案がありました!

理由は「諸般の事情」ということでしたが、「昨日の議会での議論や、市民の
意見を聞いた中で、決断をした」ということでした。

こんな事態はとても異例なことなので(以前に1度あったきりだそうです)、
今日の予定は変更になり、急きょこの取り下げの提案を承認するかどうかを
決めるための議会を開くことになりました。

これまで市長は「是々非々で議論を尽くしたい」ということを、さまざまな
場面で述べていたはずですが、どうも議論を尽くすことを避けているように思
います。
いったい昨日の答弁は何だったのか、一度取り下げた下水道の問題を、いったい
どの場で議論をしようというのかと、質問をしました。
市長の答弁はなんだかよくわからないものでしたし、私たちの会派では、「市長が
やる気のないものを議論しても仕方がない」との理由で、取り下げについて賛成を
しました。

市長が議会に提案をするというのは、とても重いことです。
特に市民生活に影響を与える今回のような提案は、慎重に提案すべきものだと
思います。

一度提案したものを、議会で否決されそうだから取り下げる、
そんないい加減な提案の仕方は、理解できるものではありません。

委員会での審査の前に取り下げるということは、議論を封じることにもなります。

私としては、たとえ否決されそうでも、信念をもって提案したからには、
正々堂々と、きっちりと議論をしていくことをい辞さない姿勢を貫いてほしい。
加藤市長ともあろう人が、民主主義を否定するような行動をとったことに、
驚き、とても残念な思いがしました。

さて、今回の議案については私は基本的に反対をするつもりでした。

下水道はどの自治体でも財政を圧迫する大きな問題になっていて、特に小田原は面積が広いので、市内全域に下水道を整備するのには、時間もお金も莫大にかかります。まだ下水道が来ていない地域は、合併浄化槽を入れ、それを公共下水道の一つの在り方として汚水処理全体を考えていくことこそ、まず議論されるべきことだと思うのです。

私が先日視察に行った広島市では、下水道を管轄する下水道部と合併浄化槽を管轄する環境部が連携をして、合併浄化槽も公共下水道の一つの手法として取り入れ、一体的な取り組みをしています。こうした仕組みが小田原市でも実現できるとよいと思います。

 下水道の未整備の地域では、生活排水は処理されることなく河川に流され、環境汚染の原因の一つになっています。一刻も早く、生活排水を処理し、きれいな水環境を取り戻す。そのための取り組みを先ずしたうえで、下水道会計について長期的な視野を持って考える必要があると私は思います。