ついに、アーバンコーポレーション、倒産。

 13日に、小田原駅前のお城通り再開発事業の施行者である「アーバンコーポレーション」が民事再生法手続きに入り、事実上倒産をしたというニュースが新聞等で報道されました。
 再開発したビルを、不動産証券化という方法で売却することで急成長をしたアーバンの倒産に伴って、今後、融資していた地方銀行は、貸出金の回収不能の恐れも出るようです。新聞には、広島銀行をはじめ、私たちになじみのある横浜銀行などの名前が融資の有力地方銀行として挙げられています。
 
 倒産大きな要因は、米国のサブプライムローン問題(信用度の低い人向けの住宅ローンの破綻で、金融経済に大きな影響をもたらしている問題)の影響や、分譲マンションの販売不振、建築資材の高騰などによるものだそうです。

 この事業の事業主体であり、開発地に多く所有地がある小田原市も組合員である「駅前再開発準備組合」は、アーバンと昨年度、覚書を交わしていましたが、市民からの度重なる見直しへの陳情や監査請求、さらに5月の市長選挙を前に加藤市長がこの計画の見直しを宣言して当選したことで、計画はとりあえずストップをしていました。また、昨年度3月の議会でも、9人の議員がこの計画にかかわる予算に反対をし、私もその1人でした。

 本契約である基本協定が結ばれる直前の倒産。もし結ばれた後だったら、小田原市の混乱は大変なものだったろうと思います。

「5年後に不動産の証券化する」というのが最大のウリであったアーバン案。私自身は事業の方向性そのものにも疑問がありましたが、この「証券化」という手法がどうにも納得できずに、これまで委員会や議会で何度も質問をしてきました。しかし、市の執行部側は「5年後証券化するかは分からない」「とても魅力的な方法だ」と答弁を繰り返してました。新聞報道でも「サブプライムがなければ(アーバンは銀行にとって)十分魅力的な融資先だった」ありました。そういえば、推進派の議員の方も「証券化は安全だ」と豪語していましたっけ。こうした事態は予想外のことだとも言えそうですが、個人所有の土地ならともかく、税金を投入した事業をさらに運用をすることこそが、そもそもがおかしかったのではと私は思います。

とにかく、事業がストップしていたのは不幸中の幸いでしたし、それは市民の力によるものが大きかったと思います。

さて、今後この計画はどうなるのでしょうか。アーバンが手掛けていた同様の事例では、別の事業者に計画を引き継ぎ実施して行くというところもあるようです。しかし、新市長は「この場所には城下町ホールを」との提案をしています。地権者の方たちが納得できる形、そしてなにより市民が納得できる事業を改めて問い直す大きな分岐点にあると思います。

私としては、交通の便が良い小田原の中心地には、来訪者よりも住んでいる人のニーズに合った事業を望みますが、改めて街づくりという視点での議論が必要です。

それにしても、負債額は約2500憶、今年最大の倒産。不動産業界のミニバブルに陰りが見え始め、格付けなどでも評価が下がっていたアーバンに対して「倒産することはないと信じている」と断言していたこれまでの市とのやり取りは一体何だったのでしょうか。今回の倒産が、私たちの市民生活やこれからの経済の在り方に大きな影を落とすことになるのかもしれません。

市議になって、こんなに大きなお金のやり取りに、いちいち面喰っていますが、何か実感が伴わないお金の流れというのはどうも信用できないものですね。なんとなく、空しい気分です。

350人もの従業員の皆さんの暮らしも気になります。

ついに、アーバンコーポレーション、倒産。”へ1件のコメント

  1. シュンスケ より:

    Unknown
    その「なんとなく、空しい気分」から逃れたいのが人の心理なのかもしれませんね。。。
    誰しも自分の存在を自覚できない虚無感の中で生きるのは辛いでしょう。

    それでも、なお、実体のない電子的な情報に右往左往してしまうのもまた人間です。(金融に限らず)

    世の中との「繋がり」の中で生きるという意識こそが今、求められる根本的な問題かもしれません。

    ちなみに六ヶ所村再処理事工場は建設費だけで2兆1900億円
    これが計画中止となる事を想像するだけで、こそばゆい感覚に沸き立ちます。

    原子力の問題に関しても、やはりエネルギーの問題という限定された価値観で捉えず、社会全体の中で一人一人の瞬間瞬間の判断を貴重としてもらう事を切に望みます。

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