ジャンパー問題の行方はいかに?保護行政あり方検討会傍聴!

生活保護行政のあり方を考える検討会を傍聴してきました。
やはり専門的な視点から見ると、様々な課題が、大変わかりやすく明らかになりますね。
保護行政とはなにか、という学びにもなります。
以下、とりあえずのメモです。(なお、自分の意見も織り交ぜてあるので、正確なものではないです。わたしの受け取り方、と思ってください)

<猪飼さん>
3つのレベルがある
生活保護担当課のレベル、小田原市役所全体の問題、小田原市民全体の問題

    ■生活保護担当課レベル
    ジャンパーを作成したことそれ自体の問題は、小田原市の最後のセーフティーネットを担う部署としての課題。生活保護課職員の技術不足やスキル不足は否めない。だが、担当課がサボタージュをしている、とは思えない。業務への情熱やある種の真面目さを伴った行為であるが、その情熱や真面目さは、本来のセーフティーネットを担う部署が持つべき情熱とは方向が違う。つまりセイフティーネットに対する価値観に問題はなかったのか?という指摘

    ■市役所全体の問題
    傷害事件を受けて、自分たちだけで解決しようとしたことが見受けられることから、他の部署から孤立していたのではないか?全庁的な対応が必要だったのではないか?

    ジャンパーに書かれた価値観 経済的な余裕のある人が正しい人間か?経済的に余裕があろうがなかろうが、不正に対する態度はあらゆる部署で同様であるべき。
    が、保護課だけが厳しい態度で不正に臨もうとしているのは、市民に対するダブルスタンダード。
    組織設計に対する改善が必要なのでは?

    ■小田原市民全体の問題
    市民からの意見は、市内でも批判と擁護が半々となっている。そうなると、今後の対策が、受給さに寄り添う形になっても、不正を許さない方向になっても、どちらにしても市民の納得が得られる形にはならない。市民の生活困窮者に対する意識の分断がある。この分断をどう克服するのか?

    この3つのレベルに整理して考えていきたい

<和久井さん>
生還困窮者は、どんな人でも陥る可能性があるもの。

    アンケートをみると、受給者を慮る言葉が非常に少ない。今回のことでは全国の生活保護受給者が傷ついている、とても悲しい事件だということが、どこまで職員に伝わっているのか。受給者にしてみたら、「わたしたちはいらない存在なんだ、社会のお荷物なんだ」ということを思い知らされるやまゆり園の事件と同じくらいの衝撃である。
    市内の受給者からの問い合わせは一つもなかった、という点は当たり前。ケースワーカーは生活保護の決定と金銭給付、「自立助長ケースワーク」、不正受給の防止や罰則の適用の権限を集中して持つ、受給者にとっては絶対権力者なので、「そのジャンパーおかしいですよ」などと、言えるわけがない。

 
<森川弁護士>
今回のジャンパー事件の発端と言われる、平成19年7月5日に発生した傷害事件についての詳細な概要の説明に対して、幾つかの問題点を指摘。

    ⚫️当事者である61歳の単身男性に関して、平成19年6月に不動産業者より、大家親族への暴力的行為があったことで契約更新ができないとの連絡があった。→本人の言い分を確認したか?借家借地法では、契約更新に関しての合意が得られない場合には、大家の一方的な判断で更新できない、ということはない。そういう法律の知識があったのか疑問。

    ⚫️その後、居宅を失うと生活保護の適用が難しくなることから、無料定額宿泊所を勧める→それが適切であったのか?本人の課題を鑑みると、それが最適な選択であったのかどうか疑問

    ⚫️6月15日以降は音信不通となり、居宅も喪失したために、保護の要否が判断できなくなって16日付で保護廃止決定を行う→保護法上、廃止はできない。判断に問題あり。

以上のようなことから、ケースワーカーに保護制度やその他関係する法律についての基礎的な知識が足りていないことがうかがえる。

職員体制を見ると、ケースワーカーは、20代30代の若い世代が多く、また在職年数も3年以下が多い。また、資格別内訳ではほとんどが社会福祉主事資格。社会福祉士が1、2名で、精神保健福祉士や臨床心理士の資格を持つものは配属されていない。ケースワークでは幅広い専門知識と経験が必要。若い経験の少ない、またスキルもない職員が対応するのは困難なのではないか?

ケースワーカー1人当たりのケース数は28年度は115件。どの年も100件を超え、150件近い年もある。国の基準は80件だが、80件も疑問。(わたしが職員への聞き取りの際には70件ならもっと丁寧に対応できるのでは、との声を聞きました)

不正受給数について
これまで5件程度であったものが、平成21年から急速に増えている。この年から、市税課や社会保険事務所への税の突合を行っている。(不正受給の約9割は、税の突合による発覚)本来は収入があったことをケースワーカーに言える信頼関係が希薄であることがうかがえる。何かの拍子に保護を打ち切られるのではないか、という怯えが、相談できる状況をなくしている。

受給者に対しての制度についての説明がわかりにくい、不十分。行政用語がまずわからない。本人のレベルでは説明不足のための齟齬のレベルが、不正になってしまう。(臨時的な収入があった場合には申請をすること、申請によって免除などの制度があること、を知らない場合がある)
また、急激に件数が増えていることは、仕事の力点が摘発に置かれていたのではないか?課の中のカルチャーに課題はなかったか?不正受給の取り締まりは、保護制度を適正に行うための手段の一つであった筈が、取り締まりそのものが目的になってしまったのではないか?

ケースワーカに対するアンケートの結果
「受給者の自立」に対しての思い入れが強く見える(自立した時にやりがいを感じるなど)が、ここでいう「自立」が「就労自立」に偏っている。「自立支援」には「生活自立支援」もある。

 



これまでのコメント

  1. 笠原久弘 より:

     佐々木さん、レポートありがとうございました。
     この問題はとても難しい問題だということがよくわかりました。
     最近、朝ドレファーミで身なりの貧しいそうな女性が警官に連れられてパトカーに乗せられるのを目撃しました。この時感じたのは、社会的に弱い立場の人は権力によって排除され、強い立場のもの(あるいは組織)は権力により守られるのだということを実感しました。警察に連れられていった女性が不憫でなりません。
     周りの人全部が幸せになって初めて自分が幸せになれると思うのですが、弱い人が自分よりさらに弱い人を叩くという風潮が強くなっているような気がしてなりません。

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